間取り・実例
耐震等級3の間取りを、施工事例を元に紹介|設計の際のポイントも
公開:2026.06.01
耐震等級3にすると、構造上、間取りが制限されてしまうことも少なくありません。「耐震性能は確保しつつ、おしゃれな間取りにしたい」「いい事例があれば参考にしたい」という方も多いでしょう。
この記事では、耐震等級3でも叶えやすいおしゃれな間取り例や、間取りを考える際のポイントを紹介します。注文住宅の設計にお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
耐震等級3でも成立しやすい間取りパターン
ここからは、耐震等級3でも比較的取り入れやすく、設計の工夫次第で自由度を確保しやすい代表的な間取りパターンを紹介していきます。
総二階ベースで壁量とバランスを取りやすい間取り
こちらの間取りは、1階と2階の形状がほぼそろった総二階ベースの構成になっており、壁の位置を上下階で揃えています。
LDKや個室を確保しながらも、外周部と内部にバランスよく壁を配置できるため、耐力壁の量を確保しやすく、構造の偏りが生じにくくなります。
リビング中心で見守りと耐震を両立する間取り

こちらの間取りはLDKを住まいの中心に配置し、各個室や水回りへ自然につながる構成が特徴です。
リビングから子ども部屋やテラスが見渡せるため、何かあってもすぐに子どもの様子を確認することができます。また、外周と室内に壁が分散して配置されているので、耐力壁を確保することもできますね。
水回りをまとめて構造を安定させる間取り

脱衣室・浴室・洗面などの水回りを一か所にまとめて配置した間取りです。
水回りは壁や配管が集まっているので、結果として耐力壁を確保しやすいエリアになります。上下階でも水回りの位置をそろえることで、柱や壁の位置が一致し、地震時の力がスムーズに下へ伝わる安定した構造になりやすくなりますよ。
成長や家族構成の変化に対応できる可変型の間取り

将来の暮らしの変化を見据え、使い方を変えやすい可変性を持たせた間取りです。
2階の子ども室は、成長に合わせて仕切ったり一室として使ったりできる構成となっており、家族構成の変化に柔軟に対応できます。
このような可変性の高い間取りを実現するためには、あらかじめ耐力壁や構造バランスを整理し、将来の間取り変更によって耐震性能が損なわれない設計が欠かせません。結果、耐震性能を高めることにつながります。
吹き抜け・大開口・ビルトインガレージを取り入れる場合の考え方
吹き抜けや大開口、ビルトインガレージは、開放感・デザイン性・利便性などのメリットがある一方、構造や耐震性とのバランスが崩れやすいというデメリットがあります。
ここからは、吹き抜け・大開口・ビルトインガレージと耐震性を両立させるポイントを紹介します。
吹き抜けは「入れる場所」より「入れない場所」を先に決める
吹き抜けは、家の中に縦方向の空間をつくり、光や風を多く取り入れると同時に、家全体の開放感を高める人気の設計手法です。
ただし吹き抜けがあると、建物を支える壁が少なくなるので、補強が必要だったり、他の部屋の間取りでバランスをとったりする必要が出てきます。
また、寝室や水回りの上部に吹き抜けがあると、補強が難しくなる場合があるので、そう言った場所には設置しない方が良いですね。
ただ漠然と「リビングに吹き抜けを!」と考えるのではなく「吹き抜けを作ってはいけない場所」を先に考えたうえで、バランスよく設計することが大切です。
大開口は連続させず配置の偏りを避ける
大開口とは、窓や引き戸などを大きく設け、外の光や景色を室内にたっぷり取り込む設計です。
南向きの大きな掃き出し窓や、天井まである窓は、空間を広く開放的に見せる効果があります。ただし、大きな開口が連続しすぎると、壁が足りず耐震性が低下する可能性も。
特に、リビングの大開口を連続させたり、家の角に大きな窓を重ねたりする場合は要注意です。
設計段階で開口の位置・大きさをバランスよく配置し、開放感と安全性を両立させる工夫が必要です。窓やドアの種類によって強さや性質が違うため、設計士と一緒に方角や採光、構造を総合的に検討できると良いですね。
ビルトインガレージは耐震上の制約を理解したうえで計画する
ビルトインガレージは、家の1階部分に車庫スペースを組み込むデザイン。雨に濡れずに出入りできる便利さが魅力です。
ただし、1階に大きな開口をつくるビルトインガレージは、壁の面積が減るため、横揺れに対して建物を支える耐力壁が不足しやすくなります。特に3階建てや狭小地だと、リスクが大きいです。
ガレージの左右にしっかり壁を残したり梁や柱の補強を計画したりする必要があるので、早い段階から、設計士と、耐震性の確保方法や使用する構造材や工法について話し合うことが大切です。
耐震等級3を取得する、間取り作りのポイント
「耐震等級3は、構造計算で数値さえ満たせば実現できる」と思われがちですが、実際には間取りの考え方もかなり影響します。
ここからは、耐震等級3の間取りを考えるうえで特に意識したい構造的なポイントを紹介します。
耐力壁の量と配置バランスが最優先になる
耐震等級3の住宅を実現するうえで、最も重要になるのが「耐力壁の量」と「配置のバランス」です。
耐力壁とは、地震の揺れに耐えるために建物を支える壁のこと。壁が多かったり、建物全体にバランスよく配置されていたりするほど耐震性が高まります。
建物の一方向に偏っていると地震時にねじれが生じやすくなり、かえって不安定になることもあるので、前後・左右のバランスを意識しながら設計することが大切です。
上下階の間取りがそろっているほど構造は安定する
耐震性を考えるうえでは、1階と2階の間取りの関係も重要なポイントです。
上下階で壁や柱の位置がそろっている間取りは、地震の力が素直に下へ伝わりやすく、構造的に安定しやすいとされています。反対に、2階が大きく張り出していたり、1階だけを広い空間にして壁を減らしていたりすると、力の流れが途切れ、損壊につながるケースも。
上下階の間取りを完全に同じにする必要はありませんが、できるだけそろえるという意識を持つことで、構造計画がシンプルになり、耐震等級3を確保しやすくなりますよ。
窓や吹き抜けは構造上の弱点になる前提で考える
大きな窓・連続した開口部・上下に抜ける吹き抜けは、耐力壁を設けにくいため、構造的にはどうしても弱点になりやすいです。
耐震等級3を目指す場合は「窓や吹き抜け部分は構造を弱くする」前提で周囲に耐力壁を配置したり、梁や柱で補強したりすることをおすすめします。
耐震等級3で間取りの自由度が下がったと感じやすい理由
耐震等級3を目指して間取りを考え始めると「思っていたより制限が多い」「自由に設計できない」と感じる方は少なくありません。
ここからは、耐震等級3で「自由度が下がった」と感じやすくなる代表的な理由を紹介します。
広いLDKを優先しすぎて壁が不足する
広いLDKと耐震等級3を両立させようと思うと「思ったより間取りの自由がきかない」と感じてしまう可能性があります。
広いLDKを実現しようとすると、どうしても壁の量を削らなければいけませんが、これが構造上不利になりやすく、追加の補強が必要になったり、間取りの修正を求められたりすることがあるからです。
ただし、この場合の本当の問題点は、LDKの広さではなく壁の取り方です。壁を確保しつつ、広いLDKを実現できる方法を、設計士と相談できると良いですね。
開放感やデザインを優先しすぎて構造が成立しにくくなる
吹き抜け・大開口・連続する窓などは、開放感やデザイン性が高いものの、壁や柱を減らす構造なので、耐震性を高めるという視点では不利になりやすいです。
デザインを固めてから設計士に相談する形だと「この間取りでは耐震等級3が取れません」「大幅な補強が必要です」と言われ、結果的に自由度が奪われたように感じてしまう可能性も。
構造的な制約を知らないまま理想を詰め込みすぎてしまうと不満につながる可能性が高いので、デザイン性と耐震性を両立したいなら、制約を先に勉強しておくか、あまり希望を硬めすぎない段階で相談にいくなどできると良いですね。
人気の間取りでも後悔につながりやすいケース
吹き抜けやリビング階段、子ども部屋のつくり方など、住宅雑誌やSNSでよく目にする人気の間取りは、見た目やイメージだけを見ると魅力的に感じやすいものです。
しかし実際の暮らしでは「思っていたほど快適ではなかった」「生活してみて初めて不便さに気づいた」と後悔につながるケースも少なくありません。
ここからは、特に後悔の声が多い代表的な間取りを例に挙げながら、なぜ不満につながりやすいのかを具体的に見ていきます。
吹き抜けを採用した結果、音や冷暖房で悩む
吹き抜けは空間が広く見えたりリビングが明るく見えたりするため人気ですが、吹き抜けによって空間がつながることで、2階の話し声やテレビの音が1階まで響いたり、逆に1階の生活音が2階に伝わったりするなど、騒音に悩まされることもあります。
また、天井が高くなる分、空気が上に溜まりやすく、冷暖房の効率が落ちやすいです。
住んでから後悔しないためにも、メリットとデメリットを天秤にかけて、生活スタイルに合うかどうかをよく検討することが大切です。
リビング階段が生活ストレスになる
リビング階段は家族の気配を感じやすい間取りとして人気がありますが、来客時にお客さんがリビングを横切ることが気になったり、階段を通じて生活音が家全体に響いてしまったりするなどのデメリットもあります。
また、冷暖房の空気が逃げやすく、冬場に暖かい空気がすぐ上に上がってしまうので、室内の温度差が大きくなるケースも。
家族の気配を感じられる一方で、プライバシーや快適性に影響することもあるため、実際の生活シーンを想像しながら検討することが重要です。
子ども部屋を最初から作り込みすぎた
子ども部屋をしっかり区切り、就学前から専用スペースを作り込むことが、後悔につながるケースもあります。
幼児期や小学校低学年の子どもは、自室よりもリビングで家族と過ごす時間の方が長いケースがほとんど。そのため「長期間あまり使わなかった」というマイナスな印象が残ってしまうこともあります。
また、子どもの成長・趣味の変化・子どもの人数に応じて部屋の使い方を変えたいと感じたとき、子ども部屋を最初から作り込みすぎていると不自由を感じることも。
子ども部屋は、広さ・収納・柔軟性を両立させて設計することが大切です。
間取りを決める前に整理しておくべき、ライフスタイルのポイント
間取りを考えるときは、部屋の広さ・配置・デザインに目が向きがちですが、実はその前に家族がどのように暮らしているか、これからどう暮らしたいかを整理しておくことがとても重要です。
ここからは、間取りを決める前に整理しておくべきポイントを紹介します。
平日と休日の家族の動き方の違い
間取りを考える前に、まず整理しておきたいのが「平日と休日の家族の動き方の違い」です。
- 平日の7時は、通勤/通学/家事で、3人が一気に水回りに集まる
- 平日の帰宅後は、家族全員集まって食事をし、リビングでくつろぐ
- 休日は起床時間がバラバラで、それぞれ個室にいる時間が長い<
- 休日も部活で9時から送り迎えが発生する
など、朝の支度が重なる時間帯や帰宅後に家族が集まる場所を想像すると、玄関・洗面・リビングの大きさや最適な導線が見えてきます。
生活の流れを整理せずに間取りを決めると「朝が混雑する」「くつろげない」といった不満につながりやすいため、動き出しの違いを把握することが大切です。
親が一番負担に感じている時間帯
子育て世帯では、朝の準備時間や夕方から夜にかけての家事・育児が重なる時間帯など、親が特に負担を感じやすい時間帯があります。
このような時間に「移動が多い」「物が散らかる」「子どもから目を離しにくい」などの不満を感じることが多いなら、キッチンからリビングや洗面が見渡せる配置にしたり、よく使う物をまとめて収納したりできる動線にした方が良いですね。
負担を感じる時間帯とシチュエーションを把握することで、より優先度の高い要望が明確になりますよ。
5年後・10年後の暮らし方の変化
子どもは5年、10年と時間が経つにつれて成長します。
行動範囲や必要な空間が変わることで、今はまだ不要な個室や収納も必要になるでしょう。
もちろん、変化があるのは子どもだけではありません、親世代も、働き方が変わって書斎が必要になったり、加齢に伴って広い浴室が必要になったりする可能性があります。
今の暮らしだけでなく、10年先の未来を想像して間取りを考えることが大切です。
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耐震等級3とデザイン性を両立した家づくりを行うためには、壁面の量や間取りなどをきちんと考えて設計することが大切です。
しかし、壁量のバランス・水回り・可変性・デザイン・生活動線などを、ご家族だけで考えていくのは難しいことですね。
「耐震性の高い家を建てたいけれど、どんな設計にするべきか悩んでしまう」「そもそも耐震等級3が妥当なのか判断できない」という方は、ぜひグランハウスにご相談ください。
グランハウスは岐阜/愛知/三重で注文住宅を提供している設計士集団です。
「ハウスメーカーでも工務店でもない、設計士とつくる」からこそ、お客様の想いやこだわりに丁寧に向き合い、ちょっとカッコいい、暮らしやすい家をご提案します。
施工実績は1,000件以上。「より良い家づくりをしたい」「岐阜で注文住宅を建てたい」とお考えの方は、ぜひグランハウスに一度お問い合わせください。