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注文住宅の設計料とは?内訳や相場を徹底解説

公開:2025.12.17

注文住宅の設計料とは、建築費とは別に必要な費用で、依頼先によって金額や支払い方法が異なります。

「相場感がわからず、なんだか不安」と感じてしまう方も多いでしょう。

この記事では、注文住宅の設計料とその内訳や相場について徹底解説します。あわせて、設計料についてのよくある疑問や注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

注文住宅の設計料とは

グランハウス 男性 女性

注文住宅の設計料とは、建物の間取りや外観デザインなどを設計図面にまとめるためにかかる費用のことです。

注文住宅を建てる際は、設計者が依頼主の希望をヒアリングし、建築基準法などの法令を守りながら、快適で安全な住まいを形にしていきます。設計内容のチェックや現場での確認作業までを含めて「設計監理料」と呼ぶ場合もあります。

設計料の中には、実際に設計業務を行う人件費のほか、打ち合わせや申請に必要な経費など、さまざまな項目が含まれます。以下はその主な内訳です。

経費項目

内容

直接人件費

設計士やスタッフの人件費。設計業務にかかる時間や日数に応じて計算されます。

直接経費

図面の印刷・製本費・交通費・資料の購入費など、設計に直接必要となる費用。

間接経費

事務所の運営・光熱費・事務管理費など、設計業務を支えるための一般的な経費。

特別経費

出張費・特許使用料・特別な調査費など、依頼内容に応じて個別に発生する費用。

技術料等経費

設計者の専門知識・経験・創造力など、技術的な付加価値に対して支払われる費用。

これらの項目は、国土交通省が定めた「業務報酬基準ガイドライン」に基づいて算出されるのが一般的です。

図面を描くだけでなく、打ち合わせ・行政確認・現場対応などの業務も含まれるため、設計料は単なる「図面作成料」ではなく、住まいを安全かつ理想通りに実現するための総合的なサービス費用といえます。

このように、注文住宅の設計料は建物の図面作成だけでなく、打ち合わせや行政確認など多岐にわたる業務が含まれています。

その中でも実際の設計内容や手続きの範囲によって費用が変わることをご存じでしょうか?

ここからは、設計料を構成する要素をより詳しく理解するために「標準業務」「標準外業務」「設計料」「監理料」の違いを見ていきましょう。

「標準業務」と「標準外業務」の違い

注文住宅の設計料を決める際、業務内容は「標準業務」と「標準外業務」に分けられます。

基本的な設計業務は「標準業務」として設計料に含まれますが、通常の範囲を超える作業や特別な申請手続きが必要な場合は「標準外業務」として追加料金が発生します。

どの範囲が標準業務にあたるかは設計事務所によって異なるため、契約前にしっかり確認しておくことが大切です。

標準業務の例

  • お客様との打ち合わせ
  • 建築条件や希望内容の整理
  • 法令・条例などの調査および関係機関との協議
  • 基本設計・実施設計図書の作成
  • 概算工事費の検討
  • 設計内容の説明および修正対応

標準外業務の例

  • 建築プロジェクトの企画立案や事業計画のための調査
  • 都市計画法・消防法などに関する許認可申請の手続き
  • 防災計画、省エネ法に基づく書類作成や届け出
  • 長期優良住宅・フラット35・住宅性能評価などの申請業務
  • 各種補助金・助成金申請のサポート

また、標準業務の範囲内であっても、打ち合わせ回数が極端に多い場合や、図面修正を繰り返すようなケースでは追加料金が発生することもあります。

「設計料」と「監理料」の違い

注文住宅を依頼する際に支払う費用のうち、「設計料」と「監理料」はそれぞれ異なる役割を持っています。

一般的には、この2つを合わせて「設計監理料」としてまとめて請求されることが多いですが、内容を理解しておくことで見積もりの内訳をより正確に把握できます。

設計料とは?
設計料とは、建物を建てる前段階で行う「設計業務」に対する費用。

お客様の希望や条件を整理し、土地の形状や法令上の制限を調査したうえで、間取り・外観・構造・設備などを図面にまとめる作業が含まれます。

また、役所との協議や建築確認申請に必要な書類の作成などもこの設計業務に含まれます。

監理料とは?
監理料とは、建設工事が設計図書どおりに正しく行われているかを確認する「工事監理業務」に対して支払う費用。

現場での進行状況の確認・施工会社との打ち合わせ・見積内容の精査・検査や引き渡しへの立会いなどが主な業務内容です。

建築主が安心して家づくりを進められるよう、設計者が第三者の立場で品質や安全性をチェックする重要な役割を担います。

設計料=図面を作るための費用
監理料=図面どおりに建てるための費用

と覚えておくと分かりやすいでしょう。

設計事務所によっては両者を明確に区別して請求する場合もあるため、契約時に「設計料に監理料が含まれているか」を確認しておくことが大切です。

注文住宅の設計料の相場は?

グランハウス 一軒家

注文住宅の設計料は、依頼先や建物の規模・内容によって大きく変わります。

一般的には「本体工事費に対する割合」で算出されますが、「1㎡あたり〇円」や「1坪あたり〇万円」など、延べ床面積(坪単価)あたりで計算される場合もあります。

また、設計料には「最低設計料」が定められているケースもあります。小規模な住宅やリフォームなどであっても、一定金額を下回らないよう設定されているため、金額が相場より低い場合はその内訳を確認しておくと安心です。

ここからは、ハウスメーカー・工務店と設計事務所・建築士に依頼した場合の設計料の相場と特徴を見ていきましょう。

ハウスメーカー・工務店(本体工事費の2~5%)

ハウスメーカーや工務店に注文住宅の設計を依頼する場合、設計料の相場は本体工事費の約2〜5%が目安とされています。

たとえば本体工事費が3,000万円の住宅であれば、設計料は60万円〜150万円前後。

ハウスメーカーや工務店は、あらかじめいくつかの設計プランを用意していることが多く、ゼロから図面を起こす必要がないため、設計料を比較的低く抑えられるのが特徴です。規格化されたプランをベースに、敷地条件や家族構成に合わせてカスタマイズすることで、効率的に設計を行っています。

また、自社内に設計士やプランナーを抱えているため、外部の設計事務所に依頼する場合よりも人件費を抑えられる傾向があります。

さらに、ハウスメーカーや工務店の中には、見積もり段階では設計料が発生しないケースもあります。設計料が工事費に含まれていて、見積書上では項目として表示されない場合もあるため注意が必要です。

契約後に正式な設計図書を作成する段階で別途費用がかかることもあるため、見積もり時に設計料の扱いを確認しておくことがトラブル防止のポイントです。

建築士・設計事務所(本体工事費の10~15%)

建築士や設計事務所に注文住宅の設計を依頼する場合、設計料の相場は本体工事費の約10〜15%とされています。

本体工事費が3,000万円の住宅であれば、設計料は300〜450万円前後になる計算です。

設計事務所は、ハウスメーカーや工務店のようにあらかじめ用意されたプランをもとに設計するのではなく、完全オーダーメイドで一から設計を行うのが特徴です。

土地の形状・家族構成・ライフスタイルに合わせて細部まで自由にデザインできるため独自性の高い住宅を実現できる反面、設計に時間と手間がかかったり、費用が高めになったりします。

設計料の算出方法は、工事費に対する割合のほかに、一坪あたりの単価で計算するケースもあります。依頼時には、どのような計算方式で設計料が決まるのかを確認しておくと安心です。

また、設計事務所では設計契約を結んだ時点で設計料が発生するのが一般的です。最初の打ち合わせで建物の規模や希望を共有し、設計料の見積もりや支払いスケジュールを明確にしてから進めます。何らかの理由で住宅計画が中止になった場合でも、設計作業が進んでいる分の費用は発生するため、契約前に清算方法を取り決めておくことが大切です。

注文住宅の設計料でよくある疑問

グランハウス 男性

注文住宅の設計料については「どこまでが費用に含まれるのか?」「ローンで支払えるのか?」など、初めて家づくりをする人にとって分かりにくい点も多いものです。

ここからは、注文住宅の設計時によく伺う質問を紹介します。

設計料が無料のケースもある?

注文住宅を扱う住宅会社の中には「設計料無料」と掲げているところもあります。

ただし、実際には設計図を作成するための人件費や経費が発生しており、設計料を工事費やその他の費用に含めているケースがほとんどです。

つまり「設計料が無料」というのは、設計そのものがタダという意味ではなく、別項目として請求されないだけという場合が多いのです。

そのため、他社と比較する際には「設計料が無料だから安い」と判断せず、工事費や諸費用を含めた総額でコストパフォーマンスをチェックすることが大切です。

見積書の内訳をしっかり確認しておけば、後から追加費用が発生するリスクを防ぐことができますよ。

設計料はローンに含められる?

設計料を住宅ローンに含められるかどうかは、依頼先の住宅会社や契約内容によって異なります。

ハウスメーカーや工務店のように、設計料が本体工事費に含まれている場合は、住宅ローンにまとめて組み込めるケースが多いです。

一方で、設計事務所や建築家に依頼する場合は、設計契約が工事契約とは別になるため、住宅ローンに含められないケースもあります。設計料の支払いが工事着工前に発生することが多く、ローン実行(融資開始)前に現金での支払いが必要になることも。

「つなぎ融資」を利用すれば、設計料を含めて一時的に資金を借りることも可能ですが、通常の住宅ローンよりも金利や手数料が高くなる場合があるため、資金計画の段階であらかじめ確認しておくと安心ですね。

設計料が高くなるのはどんな場合?

注文住宅の内容や設計の難易度によっては、一般的な相場より設計料が高くなることがあります。

完全自由設計の注文住宅では、間取りやデザインをゼロから考えるため、打ち合わせや図面作成に多くの時間と労力がかかります。お客様のこだわりを反映させるほど、設計業務が複雑化し、人件費や作業量が増える分、設計料も高くなる傾向にあります。

また、特殊な構造やデザイン性の高い住宅、狭小地・変形地に建てる住宅なども、設計に高度な技術や検討が必要となるため、設計料が上がるケースがあります。

ZEH住宅・長期優良住宅・省エネ住宅などの各種認定制度を利用する場合は、申請書類の作成や手続きのための追加業務が発生します。その分の費用が上乗せされる場合があるため、あらかじめ見積もり時に確認しておくことが大切です。

注文住宅の設計料に関する注意点

グランハウス 男性

注文住宅の設計を依頼する際には、費用面だけでなく、設計士との関係性や進め方にも注意を払うことが大切です。

どれほど優れた設計でも、設計士との相性が悪かったり、工務店との連携がうまくいかなかったりすると、理想の家づくりが思い通りに進まないことがあります。

ここからは、注文住宅の設計を進めるうえで知っておきたい6つの注意点を紹介します。

設計士との相性や人柄を確認する

注文住宅の設計を依頼する際は、設計士との相性や人柄を確認することがとても大切です。

設計士とは打ち合わせや相談を何度も重ねるため、コミュニケーションの取りやすさや信頼関係が家づくりの満足度を大きく左右します。

設計士の中には、依頼主の希望を丁寧に聞き取り、理想を実現するための提案をしてくれる人もいれば、自分のデザインや考えを強く押し出すタイプの人もいます。もし価値観が合わないと、打ち合わせがスムーズに進まず「思っていた家と違う」という結果になってしまうことも。

そのため、契約前に設計士の考え方やコミュニケーションスタイルを確認しておきましょう。初回相談やプレゼンの際に、こちらの意見をどのように受け止めてくれるか、説明が分かりやすいかなどを観察するのがおすすめです。

事前に予算を決めておく

注文住宅の設計を依頼する前に、あらかじめ明確な予算を決めておくことが非常に重要です。

設計段階での金額設定があいまいなままだと、後から追加費用が発生したり、最終的に予算オーバーになってしまうリスクが高くなります。

特に設計事務所や建築家に依頼する場合、建築コストや資材価格を正確に把握していないこともあり、当初の見積もりよりも実際の工事費が高くなるケースが見られます。

そのため、最初の段階で設計士に予算の上限を明確に伝え、設計内容が予算内に収まるかを定期的に確認することが大切です。「最初に伝える予算を少し低めに設定しておき、余裕があれば調整する」というのも賢い方法ですね。

設計士の実績を確認しておく

注文住宅の設計を依頼する際は、設計士の実績を必ず確認しておくことが大切です。

どれだけ有名な設計士でも、自分の理想とする住宅設計の経験がなければ、完成後に「思っていた家と違う」と感じてしまうこともあります。

設計士の実績を確認する際は、これまでにどのような住宅を手がけてきたか、自分の希望するデザインや予算帯の住宅を設計した経験があるかをチェックしましょう。過去の施工例やポートフォリオを見れば、その設計士の得意分野やデザインの傾向が分かります。

また、メディア出演や受賞歴がある設計士は信頼性が高い一方で、設計料が高額になったり、個人住宅の依頼を受けていない場合もあります。そのため、知名度だけで判断せず、自分の理想や予算に合った実績を持つ設計士を選ぶことが重要です。

受賞歴やメディア掲載歴を妄信しない

設計士を選ぶ際、テレビや雑誌で紹介されていたり、建築賞を受賞していたりする設計士に惹かれる人は多いでしょう。

確かに受賞歴やメディア掲載歴は、設計士の技術力やデザインセンスを示す一つの指標になります。

しかし、それだけを基準に選ぶのは危険です。どんなに有名な設計士であっても、自分たちの理想や予算、暮らし方に合った家を建てられるとは限りません。デザインが優れていても、予算を大きくオーバーしてしまっては、理想の家とは言えないでしょう。

受賞歴やメディア実績はあくまで「参考情報」として捉え、最終的には実際に話してみて相性や考え方が合うかどうかを見極めることが大切です。

設計士事務所と工務店の連携を確認する

注文住宅の建築をスムーズに進めるためには、設計士事務所と工務店の連携がしっかり取れていることが不可欠です。

設計士が理想的な図面を作成したとしても、実際に建物を建てるのは工務店です。両者の意思疎通が取れていなければ、現場でのトラブルが発生しやすくなります。

設計図の上では問題なく見えても、現場で施工する際に寸法や納まりの調整が必要になるケースは少なくありません。そのとき、設計士と工務店の連携が取れていないと、施工が止まってしまったり、追加費用が発生したりすることもあります。

このようなトラブルを防ぐためには、設計段階から工務店と情報を共有し、現場での判断や修正がスムーズに行える体制があるかを確認することが大切です。特に設計事務所に依頼する場合は、どの工務店と協力して建てるのか、過去に共同で施工した実績があるかなども事前にチェックしておきましょう。

設計士と工務店が連携できていれば、設計の意図を正確に反映した理想の家づくりが実現しやすくなります。

住宅設計料の相見積もりを取る

注文住宅の設計を依頼する際は、複数の設計事務所やハウスメーカー・工務店に相見積もりを取ることが大切です。

設計料の相場は依頼先や業務内容によって大きく異なるため、比較することで費用の妥当性を判断しやすくなります。

特に、初めて家づくりをする人にとっては「どのくらいの設計料が高いのか安いのか」判断しにくいもの。相見積もりを取ることで、全体の相場感をつかみ、無理のない予算配分を考える手がかりになります。

ただし、注意したいのは「一番安い見積もりが必ずしも最良とは限らない」という点です。相場より極端に安い場合は、設計の質やサポート体制に不安がある可能性もあります。見積もりを比較する際は、費用だけでなく、業務内容・打ち合わせ回数・監理の有無などの条件も含めて総合的に判断するようにしましょう。

注文住宅の購入をお考えなら、グランハウスにご相談ください!

まとめ グランハウス

注文住宅の設計料は、依頼先や設計内容によって大きく異なります。

ハウスメーカーや工務店では効率的なプラン設計により費用を抑えられる一方、設計事務所では、費用や打ち合わせの手間が増える代わりに自由度の高いデザインが可能です。

納得のいく家づくりを実現するためには、設計料の仕組みを理解し、依頼先との打ち合わせで不明点をしっかり確認しておくことが大切ですね。

グランハウスは岐阜/愛知/三重で注文住宅を提供している設計士集団です。

「ハウスメーカーでも工務店でもない、設計士とつくる」からこそ、お客様の想いやこだわりに丁寧に向き合い、ちょっとカッコいい、暮らしやすい家をご提案します。

施工実績は1,000件以上。「より良い家づくりをしたい」「岐阜で注文住宅を建てたい」とお考えの方は、ぜひグランハウスに一度お問い合わせください。