家づくりの流れ・スケジュール
注文住宅のプランニングの際のポイント7つ!プランニングの手順も徹底解説
更新:2025.12.10 公開:2025.12.09
注文住宅のプランニングでは、単に間取りを考えるだけでなく、ライフスタイル・将来設計・予算・土地条件などを総合的に考慮して家全体をデザインします。
この記事では、注文住宅のプランニングをする際の7つのポイントを紹介します。あわせて、プランニングの手順も徹底解説しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
注文住宅のプランニングとは

注文住宅のプランニングとは、家づくりの初期段階で「どんな家にしたいか」を具体的に形にしていく作業のことです。
間取り・デザイン・設備・動線・外構など、暮らしに関わるあらゆる要素を整理しながら理想の住まいを計画していきます。
建売住宅のように決まった仕様がない分、自由度が高く、自分たちの希望を反映しやすいのが特徴です。その一方で、快適さや安全性を確保するためには、専門家の意見を取り入れながら計画を練ることが大切になります。
注文住宅におけるプランニングの重要性
プランニングは、家づくりの土台となるもっとも大切な工程です。この段階での判断が、完成後の住み心地や満足度を左右します。
たとえば動線の取り方ひとつで、収納計画や洗濯のしやすさなどの家事の効率も大きく変わってきます。また、将来の家族構成やライフスタイルの変化を見据えておくことで、長く快適に暮らせる家を実現することができるでしょう。
逆に、プランニングを曖昧に進めてしまうと「思っていたより狭い」「生活動線が悪い」など、完成後に後悔するケースも少なくありません。だからこそ、理想の暮らしを明確にし、設計士やプランナーと丁寧にすり合わせを行うことが大切です。
注文住宅のプランニングを行う流れ
ここでは、家づくりの流れに沿って、敷地や周辺状況の確認から要望整理・基本設計・実施設計まで、プランニングの具体的なステップを順に解説していきます。
敷地・周辺状況の確認
まず行うべきなのは「敷地とその周辺環境の確認」です。
どれほど理想的な間取りを考えても、土地に合わない計画では実現できません。敷地の形状・広さ・法的な制約・周囲の環境を正確に把握しましょう。
特に、建ぺい率・容積率・高さ制限・道路との接道状況など、建築基準法に関わる項目は重要です。これらの条件によって、建てられる建物の大きさや配置が決まるためです。
また、地盤の強度・上下水道・ガス・電気といったインフラ面も確認しましょう。整備状況によっては地盤改良や配管工事が必要になり、コストや工期に影響することもあります。
情報・要望の整理
敷地や周辺環境の条件を確認したら、次は「どんな暮らしをしたいのか」「どんな家に住みたいのか」といった要望を整理していきます。
家づくりの方向性を明確にするためには、家族構成やライフスタイル、今後の暮らし方など、できるだけ多くの情報を共有することが大切です。
たとえば「家事がしやすい動線にしたい」「リビングは家族が集まれる広さにしたい」「在宅ワークの部屋が欲しい」など、希望を具体的に書き出してみましょう。現在の住まいで不便に感じている点や改善したい部分を洗い出すのも効果的です。
注文住宅は自由度が高い分、要望を詰め込みすぎると予算オーバーになりやすくなります。そのため「必ず実現したいこと」「できれば取り入れたいこと」「優先度が低いもの」といった形で、希望条件に優先順位をつけておくことをおすすめします。
こうした整理を行うことで、設計士やプランナーとの打ち合わせがスムーズに進み、理想に近い家づくりが実現しやすくなりますよ。
基本設計
敷地調査と要望の整理が完了したら、次のステップは「基本設計」です。
これまでの情報をもとに建物の大まかな形や間取りを設計図に落とし込み、概算の見積もりを出してもらいます。基本設計の段階で作成される図面は、主に「配置図」「立面図」「平面図」の3種類です。
「配置図」は、敷地に対して建物がどの位置に建つのかを上から見た図。駐車スペースや庭、隣地との距離などを確認できます。
「立面図」は建物を東西南北から見た外観の図。屋根の形や外壁のデザイン、窓の位置など全体のバランスを把握するのに役立ちます。
「平面図」は、いわゆる間取り図。部屋の広さや配置、家事動線・生活動線など、実際の暮らしやすさに直結する部分をチェックできます。
この段階の設計図はまだ詳細な仕様を決める前の「たたき台」です。分からない点があれば遠慮せずにプランナーや設計担当者へ質問し、納得のいくまで話し合いましょう。ここで確認しておくことで、後の設計変更や追加費用を防ぐことができます。
実施設計
基本設計で建物の全体像や間取り、概算見積もりが固まったら、次のステップは「実施設計」です。
実施設計とは、実際の工事を行うために必要な詳細な設計図を作成する段階で、建物の構造・設備・仕上げ材などを具体的に決定していきます。ここで完成する図面は、施工会社や職人が現場で正確に作業を進めるための「設計図面の最終形」となります。
実施設計では、電気配線・給排水・換気・照明・建具・仕上げ材など、細かな仕様をすべて図面に反映させます。図面の内容は専門的で難しく感じるかもしれませんが、施主としては「基本設計の内容と大きく違っていないか」「デザインや間取り、外観が変わっていないか」を確認しておくことが大切です。
この段階での確認不足は、後の工事や完成後に「思っていた家と違う」というトラブルにつながることもあります。不明点があれば遠慮せず設計士や担当者に質問し、納得したうえで次の工程に進みましょう。
注文住宅のプランニングをする際の7つのポイント

注文住宅のプランニングでは、「理想の暮らしをどう実現するか」を具体的に考えることが大切です。ここでは、理想の住まいを形にするために押さえておきたい7つの重要なポイントを紹介します。
1.家族構成の変化を考える
注文住宅のプランニングでは、現在の暮らしだけでなく、将来的な家族構成の変化も見据えて間取りを考えることが大切です。
たとえば、これから子どもが生まれる予定がある場合は、子育てしやすい動線や将来的に子ども部屋を増やせる設計にしておくと安心です。
また、もう少し時間が経つと、子どもの独立・親との同居などを考えるタイミングが来るかもしれません。そうした変化にも対応できるよう、部屋の使い方を柔軟に変えられる間取りにしておくと、長く快適に暮らせます。
また、将来的に夫婦2人だけの生活になったときにも、掃除や管理のしやすい動線にしておくと安心ですね。
このように、家族のライフステージが変わっても無理なく過ごせる住まいを目指しましょう。
2.将来的な住み替えの有無を考える
注文住宅を計画する際は「この家に一生住むのか、それとも将来的に住み替える可能性があるのか」をあらかじめ考えておくことが大切です。
今後のライフステージ・働き方・子どもの独立・親の介護などによって、住まいに求める条件は変化していくもの。
もし老後を迎える前に住み替えや建て替えを視野に入れている場合は、建築費の予算を抑えつつ、必要な機能をコンパクトにまとめたプランにした方が良いですね。
また、将来的に売却や賃貸を考える場合は、間取りや設備をあまり特殊にしすぎず、誰でも使いやすい設計にしておくとよいでしょう。
一方で「終の住処」として長く暮らしたい場合は、将来の身体の変化を見据えたバリアフリー設計やメンテナンスのしやすさも考慮しておくと安心です。
3.家族全員の希望を書き出す
理想の住まいをつくるためには、家族全員の意見を反映させることも大切です。
家づくりはつい代表者の考えに偏りがちですが、実際に暮らすのは家族全員。年齢や立場によって「快適」と感じるポイントは異なります。そのため、子どもから高齢の家族まで、それぞれの希望を一度すべて書き出してみましょう。
たとえば「キッチンは対面式にしたい」「収納を増やしたい」「静かな個室がほしい」といった具体的な要望を出し合い、ノートやシートにまとめておくのがおすすめです。
その際、雑誌やカタログ、ネットで見つけた理想のデザインや間取りを一緒に貼っておくと、設計士やプランナーにイメージが伝わりやすくなります。悩んだときに考えを整理することもできますので、ぜひ取り入れてみてくださいね。
4.今の住まいの不満を書き出す
新しい家づくりを成功させるためには、今の住まいで感じている不満を明確にすることが大切です。
たとえば、
・キッチンが狭くて使いにくい
・収納が足りず物が片付かない
・冬は寒くて夏は暑い
・日当たりや風通しが悪い
といったように、日常の小さなストレスをすべて書き出してみましょう。
こうして不満点を整理しておくことで、「どんな間取りや設備なら解決できるのか」が見えてきます。設計士やプランナーとの打ち合わせの際にも、自分たちの理想や改善したいポイントを具体的に伝えられるため、話がスムーズに進みますよ。
不満を書き出す作業は、理想の住まいを具体化する第一歩。小さなことでも構いません。今の暮らしの中で「こうだったらいいのに」と思うことを積極的にリストアップしておきましょう。
5.希望条件の優先順位をつける
注文住宅では、自由に設計できる分だけ「やりたいこと」が増えがちです。
しかし、すべての希望を詰め込むと予算オーバーになったり、プラン同士が矛盾してしまうことも少なくありません。そこで大切なのが、希望条件の優先順位をつけることです。
まずは、家族で「絶対に譲れない条件」「できれば実現したい条件」「妥協できる条件」を整理してみましょう。たとえば「リビングの広さは最優先」「外壁デザインは変更してもOK」など、3〜5段階に分けて優先度を決めておくとわかりやすくなります。
あらかじめ優先順位を明確にしておくことで、設計士やプランナーとの打ち合わせもスムーズに進み、見積もり調整が必要になった際にもスピーディーに判断できます。限られた予算の中で満足度の高い家づくりを実現するために、家族全員で話し合って決めておきましょう。
6.予算と希望条件のバランスを考える
理想の住まいを実現するためには、希望条件と予算のバランスを取ることが欠かせません。
どんなに理想的なプランでも、予算を大きく超えてしまえば実現は難しくなります。特に、構造の種類・設備のグレード・外壁や屋根などの素材選びは、費用に直接影響するポイントです。
たとえば、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は耐久性やデザイン性に優れていますが、木造住宅に比べて坪単価が高くなる傾向があります。また、オープンキッチンや吹き抜け、大開口の窓などは魅力的な反面、コストアップにつながることもあります。
そのため、本格的なプランニングを進める前に、「どこにお金をかけたいか」「どこを抑えてもいいか」を明確にしておくことが大切です。予算と希望条件のバランスを意識しながら検討することで、無理のない範囲で満足度の高い家づくりが実現できます。
7.設置する家具・家電と必要な収納量を考える
注文住宅のプランニングでは、間取りを決める前に設置する家具や家電のサイズ・配置をイメージしておくことが大切です。
特にリビングやダイニング、キッチンなどは大型家具や家電が集中するため、スペースにゆとりを持たせておかないと、生活動線が狭くなったり圧迫感が出てしまうことがあります。たとえば、「テレビを壁掛けにする」「冷蔵庫や電子レンジの置き場所を確保する」など、具体的に配置を考えながらプランを立てましょう。
また、収納スペースの計画も住み心地を左右する重要なポイントです。家族構成やライフスタイルの変化を見据えて、必要な収納量を事前に把握しておくことが理想的。
収納を広く取りすぎると居室のスペースが狭くなるため「どこに」「どのくらい」収納を設けるかのバランスを考えておきましょう。
間取りを考える際の注意点

間取りは、暮らしやすさを左右する重要な要素です。どんなにデザイン性の高い家でも、生活動線が悪かったり、採光や収納が不十分だったりすると、住み始めてから不便さを感じてしまうことがあります。
そのため、間取りを考える際は「見た目」だけでなく、日常の動きや快適さを重視した設計を意識することが大切です。家族の生活スタイルや敷地環境に合わせて工夫することで、長く心地よく暮らせる住まいが実現します。
ここでは、間取りを考えるうえで特に注意したい4つのポイント「生活動線・収納スペース・採光と風通し・プライバシー性」について詳しく見ていきましょう。
生活動線
注文住宅をプランニングする際には、生活動線を意識することがとても重要です。
生活動線とは、家の中で家族がどのように動くかを示すルートのこと。たとえば、朝の支度・家事の流れ・帰宅後の動き・来客時の移動など、日常の動きをスムーズに行えるように設計することで、暮らしやすさが格段に変わります。
特に、家事動線(キッチン・洗面所・物干しスペースなどのつながり)を短くすれば、毎日の家事負担を軽減できます。また、玄関からリビング・トイレ・洗面所までの動きや、家族が朝同じ時間に動くシーンなども考慮しておくとよいでしょう。
ある程度間取りが決まったら、実際に家族が生活している様子をイメージしながら、図面上に動線を書き込んでみるのがおすすめです。
収納スペース
収納スペースを考える際は、単に「広さ」「量」だけでなく、使いやすさや動線との関係にも注目することが大切です。
玄関まわりには靴や傘をまとめられるシューズクローク・キッチンにはパントリー・リビングには日用品をしまえる収納など、使う場所の近くに設けると日々の動きがスムーズになります。
また、意外と見落としがちなのが扉の種類や開閉方向です。開き戸・引き戸・折れ戸など、扉のタイプによって開閉に必要なスペースが異なるため、動線を妨げないか確認しておきましょう。
限られた空間の中で効率よく収納を配置することで、家全体がすっきり片づき、暮らしやすさがぐっと高まりますよ。
採光・風通し
快適に暮らせる住まいをつくるうえで、採光と風通しはとても重要なポイントです。
自然光を取り入れることで、日中の明るさを確保できるだけでなく、冬場の暖かさや電気代の節約にもつながります。また、風通しを意識した設計は、湿気やにおいのこもりを防ぎ、室内を快適な環境に保つ効果があります。
基本的には、窓の方角・位置・大きさを工夫することがポイントです。たとえば、南向きの窓は採光に優れ、北向きの窓は安定した自然光を取り入れやすい特徴があります。
風通しをよくするためには、家の中で空気が流れるように対角線上に窓を配置すると良いですね。
ただし、周囲に高い建物がある場合や、隣家との距離が近い場合は、プライバシーと採光のバランスを取る工夫も必要です。設計段階でプランナーに相談し、敷地条件に合った最適な窓の配置を検討しましょう。
プライバシー性
快適に暮らすためには、室内のプライバシー性を確保することも欠かせません。
特に隣家との距離が近い住宅地や、人通りの多い道路に面した敷地では、外からの視線をどのように遮るかを考える必要があります。
リビングや寝室の窓の位置を工夫して外から室内が直接見えないようにしたり、すりガラスや高窓を取り入れたりするのも効果的。
また、目隠しフェンスや植栽を活用すれば、視線をやわらげながら自然にプライバシーを守ることができますね。
注文住宅のプランニングにお悩みなら、グランハウスにご相談ください!
注文住宅のプランニングは、理想の暮らしを実現するための大切なプロセスです。
敷地の条件や家族のライフスタイル、将来の変化などを踏まえて計画を立てることで、住み始めてからの満足度が変わります。とはいえ、自由度が高い分だけ迷う場面も多く、「どこから手をつければいいのか分からない」という方も少なくありません。
グランハウスは岐阜/愛知/三重で注文住宅を提供している設計士集団です。
「ハウスメーカーでも工務店でもない、設計士とつくる」からこそ、お客様の想いやこだわりに丁寧に向き合い、ちょっとカッコいい、暮らしやすい家をご提案します。
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保育士兼設計アシスタント
早川 桃加