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注文住宅を建てるのに必要な年収は?家の費用別に、必要な年収も解説

公開:2025.10.17

家づくりの際は、立地やデザインなど検討するべき点が非常に多いです。その中でも特に気になるのは、費用面ではないでしょうか。

この記事では、住宅ローンを組むのに必要な年収や、家の価格別に必要な年収を紹介します。ぜひ参考にしてみてくださいね。

注文住宅に必要な年収は?

注文住宅を建てたいと思ったとき、最も気になるのが「自分の年収で建てられるのか」という点ではないでしょうか。注文住宅を建てた人たちの平均年収や目安となる水準について詳しく解説します。

平均の世帯年収は約801万円

国土交通省の「住宅市場動向調査」によれば、注文住宅を取得した世帯の平均年収は約801万円。最も多い年収層は600〜800万円未満(25.7%)、次いで400〜600万円未満(22.0%)となっており、400万円~800万円で全体の約半数を占めています。

この平均年収だけを見ると「かなり高いのでは?」と感じるかもしれませんが、これは夫婦共働きなどによる「世帯年収」である点に注意が必要です。たとえば、夫が年収500万円、妻が300万円であれば合計800万円になりますし、夫婦それぞれが400万円ずつ稼いでいても同じです。

近年では共働き家庭が一般的になっているため、800万円程度の世帯年収は決して珍しい水準ではないと言えるでしょう。

参考:「国土交通省│令和5年度 住 宅 市 場 動 向 調 査 報 告 書」

一般的には世帯年収400万円〜が目安

注文住宅を検討するうえでの年収のボーダーラインは、おおむね400万円からがひとつの目安とされています。

特に400万円〜600万円台の世帯でも、住宅ローンの借入額や家づくりの工夫次第で注文住宅を建てることは十分に可能です。また、共働きで世帯年収が600〜800万円台となると、住宅プランの選択肢もさらに広がり、設備やデザインにこだわった家づくりも視野に入ります。

注文住宅を建てた人の多くが世帯年収400万円〜800万円の範囲に分布していることからも、この水準が一般的なボリュームゾーンといえるでしょう。

注文住宅購入の目安は年収の5-6倍

注文住宅を検討する際に目安とされるのが「年収の5〜6倍までの借入」です。たとえば年収500万円であれば、おおよそ2,500万〜3,000万円の住宅ローンが組めるという計算になります。ただし、これはあくまでも目安であり、誰にでも当てはまるわけではありません。

住宅ローンの審査で金融機関が重視するのは「返済負担率」という指標です。これは、「年収に対する年間返済額の割合」を示すもので、以下のように計算されます。

返済負担率=年間のローン返済額 ÷ 年収 × 100

返済負担率が高すぎると、将来的な支出の増加や収入の変動に対応できなくなるリスクがあるため、各金融機関では上限を30〜35%程度に設定しています。

たとえば年収400万円の方であれば、年間120万〜140万円(月々約10万〜11.6万円)の返済が「安全圏」です。これをもとに住宅ローンの借入額や注文住宅の予算を計画しましょう。

【年収別】住宅ローンの借入額の目安

住宅ローンの借入可能額は、年収や返済計画によって大きく変わります。無理なく返済を続けるためには、年収に応じた月々の支払い額と返済負担率を考慮した資金計画が重要です。年収別の目安を参考に、自分に合った予算を把握しましょう。

年収200万円

年収 200万円
借入期間 35年
金利 0.5%
毎月返済額 5万円
ボーナス返済 無し
頭金(自己資金) 無し
返済方式 元利均等返済

年収200万円の方が上記の条件で住宅ローンを利用した場合、住宅の購入可能価格の目安は約1,926万円です。ローコスト住宅やコンパクトな間取りを選べば、注文住宅を建てることも十分に可能な金額です。

年収300万円

年収 300万円
借入期間 35年
金利 0.5%
毎月返済額 7.5万円
ボーナス返済 無し
頭金(自己資金) 無し
返済方式 元利均等返済

年収300万円の方が上記の条件で住宅ローンを利用した場合、住宅の購入可能価格の目安は約2,889万円です。家族構成やライフスタイルに合わせて、シンプルな間取りの注文住宅を検討しやすい金額です。

年収400万円

年収 400万円
借入期間 35年
金利 0.5%
毎月返済額 10万円
ボーナス返済 無し
頭金(自己資金) 無し
返済方式 元利均等返済

年収400万円の方が上記の条件で住宅ローンを利用した場合、住宅の購入可能価格の目安は約3,852万円です。建物にある程度のこだわりを持たせながらも、資金計画に無理のない住宅づくりが可能になります。

年収500万円

年収 500万円
借入期間 35年
金利 0.5%
毎月返済額 12.5万円
ボーナス返済 無し
頭金(自己資金) 無し
返済方式 元利均等返済

年収500万円の方が上記の条件で住宅ローンを利用した場合、住宅の購入可能価格の目安は約4,815万円です。土地と建物をセットで計画できる現実的な価格帯で、間取りやデザインの自由度も高まります。

年収600万円

年収 600万円
借入期間 35年
金利 0.5%
毎月返済額 15万円
ボーナス返済 無し
頭金(自己資金) 無し
返済方式 元利均等返済

年収600万円の方が上記の条件で住宅ローンを利用した場合、住宅の購入可能価格の目安は約5,778万円です。建物仕様にこだわった注文住宅や、都市部での土地付き住宅も十分に視野に入る水準です。

年収700万円

年収 700万円
借入期間 35年
金利 0.5%
毎月返済額 17.5万円
ボーナス返済 無し
頭金(自己資金) 無し
返済方式 元利均等返済

年収700万円の方が上記の条件で住宅ローンを利用した場合、住宅の購入可能価格の目安は約6,741万円です。設計や外構・住宅性能などにも十分な予算が割けるため、理想の家づくりを実現しやすくなります。

年収800万円

年収 800万円
借入期間 35年
金利 0.5%
毎月返済額 20万円
ボーナス返済 無し
頭金(自己資金) 無し
返済方式 元利均等返済

年収800万円の方が上記の条件で住宅ローンを利用した場合、住宅の購入可能価格の目安は約7,705万円です。広い敷地や高性能設備を採用した住宅も選択肢に含められ、自由設計にも幅が出ます。

年収900万円

年収 900万円
借入期間 35年
金利 0.5%
毎月返済額 22.5万円
ボーナス返済 無し
頭金(自己資金) 無し
返済方式 元利均等返済

年収900万円の方が上記の条件で住宅ローンを利用した場合、住宅の購入可能価格の目安は約8,668万円です。資金面にゆとりがあり、デザイン性・快適性ともにハイグレードな住宅計画が立てられます。

年収1000万円

年収 1000万円
借入期間 35年
金利 0.5%
毎月返済額 25万円
ボーナス返済 無し
頭金(自己資金) 無し
返済方式 元利均等返済

年収1,000万円の方が上記の条件で住宅ローンを利用した場合、住宅の購入可能価格の目安は約9,631万円です。好立地な土地選びからハイグレードな設備・設計まで、幅広いニーズに応える住宅が実現可能です。

【注文住宅の費用別】必要な年収の目安

注文住宅の費用は、建物の仕様や土地の条件によって大きく異なります。ここでは、建築費ごとに必要な年収の目安を試算し、2,000万円〜8,000万円の住宅を建てるにはどの程度の収入が必要かを分かりやすく解説します。

2000万円の注文住宅

金利 0.5%
月々の返済額(借入期間35年) 51,583円
年間返済額 619,000円
必要年収(返済負担率30%) 約207万円

2,000万円の注文住宅は、年収200万円台の方にも手が届く現実的な値段になります。延べ床面積を抑えた設計やローコスト住宅を活用すれば、無理のない資金計画でマイホームを実現できる可能性があります。

3000万円の注文住宅

金利 0.5%
月々の返済額(借入期間35年) 77,875円
年間返済額 934,500円
必要年収(返済負担率30%) 約311万円

3,000万円の注文住宅では、仕様や間取りにこだわる余裕が出てきます。間取りや設備にある程度の希望を反映しやすく、広さや使い勝手にもゆとりを持たせた住まいを実現しやすい価格帯です。

4000万円の注文住宅

金利 0.5%
月々の返済額(借入期間35年) 103,834円
年間返済額 1,246,008円
必要年収(返済負担率30%) 約415万円

4,000万円の注文住宅では、立地や外観・内装デザインにこだわった住宅づくりも視野に入ります。土地付き住宅を検討する方や、ハイグレードな設備を取り入れたい方にも適した価格帯です。

5000万円の注文住宅

金利 0.5%
月々の返済額(借入期間35年) 129,792円
年間返済額 1,557,504円
必要年収(返済負担率30%) 約519万円

5,000万円の注文住宅では、立地や間取りの自由度が大きく、デザインや機能性にもこだわることができます。ハイスペック住宅や二世帯住宅なども視野に入り、将来を見据えた家づくりが可能です。

6000万円の注文住宅

金利 0.5%
月々の返済額(借入期間35年) 155,751円
年間返済額 1,869,012円
必要年収(返済負担率30%) 約623万円

6,000万円の注文住宅では、都市部の人気エリアや広い敷地の確保が可能となり、自由設計の家づくりに最適です。ハイグレードな設備や高性能な断熱・省エネ仕様も導入しやすく、住み心地を追求した住宅が実現できます。

7000万円の注文住宅

金利 0.5%
月々の返済額(借入期間35年) 181,709円
年間返済額 2,180,508円
必要年収(返済負担率30%) 約727万円

7,000万円の注文住宅では都市部の好立地や大規模な敷地、高級住宅仕様にも対応できます。デザイン性・機能性の両方を重視し、将来的な資産価値も意識した住まいを計画することが可能です。

8000万円の注文住宅

金利 0.5%
月々の返済額(借入期間35年) 207,668円
年間返済額 2,492,016円
必要年収(返済負担率30%) 約831万円

8,000万円の注文住宅では都市部の好立地や大規模な敷地に加え、こだわりのハイグレード仕様が可能になります。住宅性能・外構・インテリアに至るまで、理想を細部まで追求できる価格帯です。

注文住宅の資金計画6つのポイント

注文住宅を成功させるには理想のプランだけでなく、現実的な資金計画も欠かせません。無理のない返済や自己資金の把握・金利の選び方など、事前に押さえるべき6つのポイントを整理して解説します。

理想の条件を明確にする

注文住宅を建てる最大の魅力は、「理想の暮らしを形にできること」です。しかし、何を重視するかを明確にしておかなければ設計段階で迷いやブレが生じ、予算オーバーや後悔の原因になります。

まずは「必要な部屋数」「将来のライフスタイル」などをイメージしながら、優先順位を整理しましょう。「絶対に譲れない条件」と「予算次第で検討する条件」を分けるなど、メリハリのある予算配分を意識できると良いですね。

相場を調べる

注文住宅の費用は「建築費用+土地代+諸費用」で構成されます。そのため、希望エリアや建物の規模により総額は大きく変わります。予算を立てる前に、住みたいエリアの土地価格や延床面積ごとの建築単価を調べておくことが重要です。

たとえば、同じ建物でも都市部と郊外では土地価格が数百万円〜数千万円単位で異なります。また、ハウスメーカーや工務店によっても標準仕様や坪単価に差があるため、複数社で見積もりを取り、比較するのも良いですね。

必要な現金を把握する

住宅購入には、住宅ローンの借入金だけでは賄えない「現金で支払う費用」も多数あります。これらを把握しておかないと、いざ契約・着工のタイミングで想定外の出費に直面することもあります。

主な自己資金の内訳は以下の通りです。

  • 頭金(購入価格の1〜2割が一般的)
  • 手付金
  • 設計料・申請料
  • 登記費用・火災保険・ローン諸費用
  • 引っ越し費用・家具家電の購入費用

一般的には、建物・土地価格の10〜30%程度の現金が必要とされますが、予算や金融機関の条件によって異なります。預貯金の中から「住宅資金に充てられる分」と「生活資金・緊急予備費」を分けて考えることが、安定した資金計画のカギとなります。

返済負担率を考える

住宅ローンの審査や資金計画で重要な指標のひとつが「返済負担率」です。これは「年収に対して年間のローン返済がどの程度の割合を占めるか」を示すもので、多くの金融機関では上限を30〜35%に設定しています。

たとえば年収500万円の場合、返済負担率30%であれば年間返済額の上限は150万円、月々の返済額はおよそ12.5万円が目安となります。

この範囲内で返済できるよう、借入額・返済年数・金利のバランスをしっかりと見極めることが大切です。

世帯年収の変動

共働き世帯が増える中、世帯年収を前提とした資金計画を立てる方が多くなっています。しかし、将来にわたって安定して共働きを続けられるとは限りません。出産・育児・介護・転職など、世帯収入が減る可能性を織り込んでおくことが大切です。

特に子どもが生まれるタイミングで、一時的に片働きになる家庭も少なくありません。また、教育費がかかる時期と住宅ローン返済のピークが重なると、家計への負担が一気に増します。

将来の収入変動リスクを想定し、片働きでも返済できる金額に抑える、または繰上返済などで早期にローン残高を減らす戦略を立てておくと安心です。

金利タイプを知る

住宅ローンには主に3つの金利タイプがあります。

  • 変動金利型:金利が低く設定されている反面、将来の金利上昇リスクあり
  • 固定期間選択型:当初一定期間は固定金利、その後は変動か再固定を選択
  • 全期間固定型:借入から完済まで金利が一定。返済額がずっと変わらない安心感がある

低金利時代の現在は「変動金利」が人気ですが、将来的に金利が上昇した場合、毎月の返済額が増えるリスクもあります。一方で、全期間固定型は金利が高めですが、将来のライフプランが読みやすいです。

どの金利タイプを選ぶかは、単なる「金利の安さ」だけでなく、自分たちの収入の安定性やライフステージ、リスク許容度を踏まえた総合的な判断が必要です。

年収が足りなくても理想の家を建てるには

ここからは、年収が少ない方でも理想的な家を建てるためのコツを紹介します。

頭金を増やす

頭金をしっかり用意できれば住宅ローンの借入額を抑えられるため、返済負担率も下がり、審査通過の可能性が高まります。たとえ年収が高くなくても、自己資金が多いことでローンに対する信用度が上がるのです。

また、一部の金融機関では自己資金の割合に応じて金利を優遇する制度があります。たとえば、フラット35では頭金が1割以上ある場合に金利が優遇される仕組みです。長期的に見ると返済総額にも大きく影響するため、頭金はできるだけ多く準備しておくと安心です。

返済期間を長くする

住宅ローンの返済期間を延ばすことで、毎月の返済額を抑えることができます。たとえば、35年や40年ローンを選択すれば、月々の負担が軽くなり家計への影響を最小限にできます。

特に20代など若いうちに住宅を購入する場合は、返済期間にゆとりを持たせることで、将来のライフプランにも柔軟に対応しやすくなります。

ペアローンを検討する

住宅ローンの借入額が希望に届かないときは、ペアローンを利用して家族の収入を合算する方法があります。ペアローンとは夫婦や親子で、それぞれが住宅ローン契約者となり収入を合算して借入額を増やす仕組みです。共働きが一般化している現代では、多くの家庭が取り入れています。

ただし、注意点もあります。

出産や育児などで片方の収入が一時的に減少しても、返済額が減ることはありません。また、団信(団体信用生命保険)の適用も個別となるため、万一の場合の保障範囲が限定されます。

こういった点を事前に把握しておくことが重要ですね。

建築予定地を、坪単価が安い土地に変える

建設予定地を、坪単価が安い土地に変えるという選択肢もあります。

土地代は家づくりにかかる総費用の中でも大きな割合を占めます。同じ広さでも、都市部と郊外では数百万円から数千万円の差が出ることも珍しくありません。

年収だけでは理想の家を実現できない場合でも、建築予定地を坪単価の安いエリアに変更することで、予算にゆとりを持たせられますよ。

家づくりのプランを見直す

年収に見合った住宅を実現するためには、建築プランそのものを見直すことも大切です。家の価格を下げる=妥協ではありません

設備グレードを抑える・間取りをシンプルにする・延床面積を見直すなど、必要な広さや機能を見極め、コストバランスの良いプランを組み直せば、満足度の高い家を作ることができますよ。

性能を維持しつつコストを下げる工夫をしているハウスメーカーも多いため、複数社の提案を比較検討して、自分たちに合ったプランを見つけましょう。

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注文住宅を建てるには、年収に応じた資金計画や住宅ローンの設計など、慎重な準備が必要です。限られた予算の中で理想の住まいを実現するには、専門家による的確なサポートが欠かせません。

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