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注文住宅を建てるのに現金はいくら必要?現金を用意できない時の対処法も

公開:2025.10.11

注文住宅を建てる際は住宅ローンを組むのが一般的ですが、現金が必要になる場面もあるため、あらかじめ用意しておく必要があります。

この記事では、注文住宅を建てるために必要な現金の額や、諸費用を現金で用意できない場合の対処法を紹介します。注文住宅の購入をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

注文住宅に現金はいくら必要?

注文住宅を建てる際、「ローンを組めば現金はあまり必要ないのでは?」と思う方もいますが、実際には頭金や諸費用など、現金での支払いが必要な場面が多くあります。

ここでは、注文住宅を建てるときに用意しておきたい現金の目安と、その内訳について分かりやすく解説します。

必要な現金の平均相場

注文住宅を建てる際に必要な現金は、諸費用や頭金を合わせて数百万円〜1,000万円以上が相場です。

国土交通省の「令和6年度住宅市場動向調査_報告書」によると、注文住宅の住宅建築資金(土地購入資金を除く)は全国平均で4,695万円、そのうち自己資金は約1,825万円となっています。

また、諸費用だけでも土地代と建築費用の約10%前後が必要とされ、たとえば総額5,000万円の家を建てる場合、約500万円を現金で準備するのが目安です。生活費の半年分は手元に残すことを考えながら、資金計画を立てると安心ですね。

【参考】国土交通省の「令和6年度住宅市場動向調査_報告書」P117 3.4 資金調達に関する事項

現金で支払うのは「頭金」と「諸費用」

住宅ローンでまかなえるのは、基本的に土地代と建築費用のみです。そのため、頭金と諸費用は現金での支払いが必要になります。

  • 頭金:住宅ローンを組む際に、借入額を減らすために先に支払うお金。
  • 諸費用:登記費用、印紙税、住宅ローンの手数料、火災保険料など、家づくりに付随する費用。

諸費用は土地代と建築費用の10%前後になることが多く、事前に把握していないと、契約時に「現金が足りない!」という事態になりかねません。スムーズな契約と建築を進めるためにも、早めの資金準備が欠かせません。

現金で支払う諸費用の種類一覧

注文住宅を建てる際には、建築費や土地代以外にも、現金で支払う必要のある「諸費用」がかかります。諸費用は住宅ローンに含められないケースが多く、契約や引き渡しのタイミングで必要になります。

代表的な費用を理解して、あらかじめ資金を用意しておきましょう。

手付金

手付金は、土地や建物の売買契約時に売主へ支払うお金です。契約の証拠金としての意味があり、金額は売買価格の5〜10%程度が一般的です。

この手付金は契約成立後、残代金に充当されますが、契約を買主都合でキャンセルする場合は返金されないことがあります。契約前に金額と支払い条件をしっかり確認しておきましょう。

印紙税

印紙税は、売買契約書や工事請負契約書など、一定額以上の契約書を作成する際に必要な税金です。契約金額によって税額が決まり、たとえば1,000万円超〜5,000万円以下の契約では印紙代は1万円(2027年3月31日まで軽減措置が適用されるため。通常は2万円)です。

契約書には必ず印紙を貼付し、消印を押す必要があり、貼り忘れや金額不足は税務上のペナルティになるため注意しましょう。

登記費用

登記費用は、建物の所有権保存登記や土地の所有権移転登記など、法務局での手続きを行う際に必要な費用です。登録免許税という税金と、司法書士へ依頼する場合の報酬が含まれます。

登録免許税は固定資産評価額に応じて計算され、司法書士報酬は数万円〜十数万円が一般的です。登記をしないと正式に所有者として認められないため、引き渡し前に必ず手続きを行います。

証拠金

証拠金は、土地や建物の売買契約や工事請負契約の際に、「契約の意思があること」を示すために支払うお金です。

手付金と混同されがちですが、証拠金はあくまで契約を成立させるための預かり金で、契約解除の際には返還されるケースもあります。契約内容によって扱いが異なるため、契約書で返還条件を必ず確認しておきましょう。

仲介手数料

仲介手数料は、不動産会社を通して土地や中古住宅を購入する際、その仲介業務に対して支払う報酬です。不動産の仲介手数料上限額の計算方法は次のとおりです。

取引金額 計算式(税込)
200万円以下 取引金額 × 5.5%
200万円超〜400万円以下 取引金額 × 4.4%
400万円超 取引金額 × 3.3%

【出典】「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ」(国土交通省) 

たとえば、不動産を2,000万円で売却した場合、仲介手数料の上限額は200万×5.5%+ (400万-200万)×4.4%+ (2,000万-400万)×3.3%=上限72.6万円(税込)になります。

仲介手数料は契約時や引き渡し時に分割で支払うのが一般的なので、支払い時期も事前に確認しておくと安心です。

不動産取得税

不動産取得税は、土地や建物を購入・新築したときに一度だけ課税される地方税です。税額は「固定資産税評価額 × 税率(原則4%)」で計算されますが、新築住宅や住宅用地には軽減措置が適用される場合があります。

購入後しばらくして自治体から納税通知書が届くため、契約時には支払いのタイミングがわからなくても、あらかじめ資金を確保しておくことが大切です。

【参照】総務省「不動産取得税

登録免許税

登録免許税は、土地や建物の権利を正式に登記する際に課される国税です。登記の種類によって税率が異なり、たとえば新築住宅の所有権保存登記では固定資産税評価額×0.15%、土地の所有権移転登記では固定資産税評価額×1.5%(2026年3月31日までの間に登記を受ける場合の軽減措置。通常は2.0%)がかかります。

登録免許税を納めないと登記手続きが完了せず、正式な所有者として認められないため、引き渡しまでに必ず支払う必要があります。

【参照】国税庁「No.7191 登録免許税の税額表

司法書士への依頼費用

登記手続きは自分でも行えますが、書類作成や法務局への申請など専門的な知識が必要なため、多くの場合は司法書士に依頼します。

司法書士報酬は依頼内容や地域によって異なりますが、数万円〜十数万円が一般的です。報酬には、登記申請の代理手数料や必要書類の取得代行費用などが含まれます。依頼前に見積もりを取り、費用の内訳を確認しておきましょう。

融資事務手数料

融資事務手数料は、住宅ローンを利用する際に金融機関へ支払う手数料です。定額制の場合は数万円〜十数万円、借入金額に応じて変動する場合は借入額の2%程度が相場です。

また、融資事務手数料はローン契約時に一括で支払う必要があり、ローンの契約形態(固定金利型や変動金利型)によって金額が変わることもあります。契約前に必ず金融機関から詳細を確認しておくことが大切です。

ローン保証料

ローン保証料は、住宅ローンを利用する際に、金融機関が指定する保証会社へ支払う費用です。万が一返済ができなくなった場合に、保証会社が金融機関へ返済を肩代わりするための保険のようなものです。

また、ローン保証料は一括前払い型と金利上乗せ型の2種類があり、一括前払い型では数十万円〜100万円程度になることもあります。借入額や返済期間によって金額が変わるため、事前にシミュレーションしておきましょう。

地鎮祭、上棟式費用

地鎮祭は工事の安全と家の繁栄を祈る儀式、上棟式は建物の骨組みが完成したときに行うお祝いです。いずれも必須ではありませんが、実施する場合は費用がかかります。

地鎮祭は神主へのお礼やお供え物代を含めて3万〜5万円程度、上棟式は職人さんへのご祝儀や飲食代を含めて10万〜20万円程度が目安です。地域や慣習によって内容や金額は変わります。

引っ越し費用

新居への引っ越しにもまとまった現金が必要です。費用は荷物の量や移動距離、時期によって変動しますが、数万円〜20万円以上かかることもあります。

繁忙期(3月〜4月)は料金が高くなる傾向があるため、可能であればオフシーズンに日程をずらすと費用を抑えられます。また、家具や家電の新調も同時に行う場合は、その分の予算も確保しておきましょう。

注文住宅フルローンなら自己資金ゼロでも購入可能?

最近では、頭金なしで住宅ローンを借り入れられる「フルローン」を利用できる金融機関が増え、自己資金ゼロでも注文住宅を購入できるケースが多くなっています。さらに、一部の金融機関では諸費用もローンに組み込めるプランがあり、初期費用を大幅に抑えることが可能です。

ただし、自己資金ゼロ=まったく現金が不要というわけではありません。引っ越し費用や家具・家電の購入費、地鎮祭や登記費用など、ローンに組み込めない支払いは現金で用意する必要があります。

また、自己資金なしでの購入には注意点もあります。借入額が増える分、毎月の返済額や総返済額が大きくなり、家計の負担が重くなる可能性があります。さらに、返済期間が長期化するため、完済までの道のりも長くなります。

加えて、借入額が高くなることで住宅ローンの審査基準が厳しくなる場合があります。金融機関は返済能力や信用力を慎重に見極めるため、安定した収入や良好な信用情報を示すことが重要です。

自己資金ゼロでの注文住宅購入は可能ですが、返済計画や生活費の余裕をしっかり確保したうえで検討しましょう。

諸費用を現金で払えない時の対処法

注文住宅の契約や引き渡し時には、頭金以外にも印紙税や登記費用などの諸費用が必要になります。しかし、現金の準備が難しい場合でも、いくつかの方法で対応することが可能です。

ここでは代表的な3つの方法をご紹介します。

諸費用を住宅ローンに組み込む

金融機関によっては、土地代や建築費用だけでなく、諸費用の一部を住宅ローンに含められる場合があります。諸費用の一部を住宅ローンに含められれば、契約時に必要な現金を減らすことができます。

ただし、借入額が増える分、毎月の返済額や総返済額が高くなる点には注意が必要です。また、すべての金融機関で利用できるわけではないため、事前に条件や取り扱いの有無を確認しましょう。

諸費用ローンを活用する

諸費用だけを対象にした「諸費用ローン」という商品もあります。住宅ローンとは別枠で借り入れるため、諸費用分の現金を確保できます。

一般的に住宅ローンより金利は高めですが、借入期間が短く設定できるため、総利息を抑えられる場合もあります。返済期間や金利、手数料などを比較し、自分に合ったローンを選びましょう。

家づくりの計画を見直す

どうしても諸費用の現金が用意できない場合は、家づくりの計画そのものを見直すのも一つの方法です。

たとえば、建築費を抑えるプランに変更したり、土地の条件を見直すことで総費用を減らし、その分を諸費用に回すことができます。無理に借入額を増やすよりも、長期的に安心して返済できる計画にすることが大切です。

手持ちの現金が少ない方は、グランハウスにご相談ください

注文住宅を建てるには、頭金や諸費用など、住宅ローンではまかなえない現金が必要になる場合があります。自己資金がゼロや少額でも購入できる方法はありますが、借入額の増加や審査の厳格化など、注意すべきポイントも多くあります。

諸費用を住宅ローンや諸費用ローンに組み込む方法、家づくりの計画を見直す方法など、状況に合わせた資金計画を立てることが大切です。

グランハウスは岐阜/愛知/三重で注文住宅を提供している設計士集団です。

「ハウスメーカーでも工務店でもない、設計士とつくる」からこそ、お客様の想いやこだわりに丁寧に向き合い、ちょっとカッコいい、暮らしやすい家をご提案します。

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