基礎知識・考え方

注文住宅とは?建売との違いやメリット・デメリットも解説

公開:2025.10.11

注文住宅・分譲住宅・建売住宅など、同じ一戸建ての家でも沢山の種類があり、どのように選べばいいのか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、注文住宅・分譲住宅・建売住宅の違いや注文住宅の種類、注文住宅のメリット・デメリットを徹底解説します。

注文住宅を建てる流れとスケジュール・注文住宅で後悔しないための5つのポイントについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

注文住宅とは?建売・分譲住宅との違いは?

注文住宅は、間取りやデザインを自由に決められる点が大きな魅力です。一方、建売住宅や分譲住宅は完成済みの家を購入するため、自由度は低いですがすぐに入居できるなどのメリットがあります。

注文住宅とは自由な家づくりができる一戸建て住宅

注文住宅とは、自分が持っている土地や新しく購入した土地に自分の希望を反映しながら建てる一戸建ての家のことです。間取りやデザイン・設備などを一から決められるため、家族のライフスタイルや好みに合わせた世界にひとつだけの住まいをつくることができます。

まだ完成していない状態から家づくりを進めるため、間取り・デザイン・設備を自由に決められるのが大きな特徴です。ライフスタイルや好みに合わせた設計が可能なため、「家にこだわりたい」「理想の暮らしを実現したい」という方に向いています。

建売住宅との違い

建売住宅は、すでに完成している家を土地とセットで購入する住宅のこと。もしくは、設計プランが決まった状態で販売されるケースもあります。

そのため、間取りや仕様の自由度は低い反面、すぐに入居できる点や価格が明確な点がメリットです。家づくりに時間をかけず、完成した物件を実際に見て判断したい人に向いています。

分譲住宅との違い

分譲住宅は、ハウスメーカーや工務店が開発した分譲地に建てられた住宅を指します。こちらも建売住宅と同様に、間取りや設備を自由に選ぶことはできません。

また、統一感のある街並みが特徴で大規模な分譲地では、周辺環境や景観が整えられていることが多いです。一方で、小規模な分譲住宅は建売住宅と呼ばれることもあり、明確な線引きがない点も特徴です。

注文住宅の種類

注文住宅には大きく分けて、規格住宅・セミオーダー住宅・フルオーダー住宅の3種類があります。自由度やコスト、手間のかかり方が異なるため自分の希望や予算に合わせて選ぶことが重要です。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

規格住宅

規格住宅は、あらかじめ用意された間取りや外観・設備の仕様などから選んで建てる住宅です。フルオーダー住宅のような自由度はありませんが、ハウスメーカーのノウハウを活かした高品質な家を比較的リーズナブルな価格で建てられるのが魅力です。

設計や打ち合わせの手間が少なく、スムーズに家づくりを進められます。

セミオーダー住宅

セミオーダー住宅は、規格住宅をベースに一部の仕様や間取りをカスタマイズできるタイプです。

基本のプランは決まっているためコストや工期を抑えつつ、自由設計の要素を取り入れて自分好みに仕上げられる点がメリットです。規格住宅とフルオーダー住宅の中間的な位置づけの住宅といえます。

フルオーダー住宅

フルオーダー住宅は、間取り・デザイン・仕様に至るまで、すべて自由に決められる完全オーダーメイドの住宅です。

理想をそのまま形にできる一方、打ち合わせや設計に時間がかかることやコストが高くなる傾向があります。また、ハウスメーカーによっては工法や構造に制約がある場合もあります。

注文住宅のメリット

注文住宅には、建売住宅や分譲住宅にはない多くの魅力があります。自由度の高さや、建築過程を確認できる安心感、土地や予算の柔軟な選択が可能な点など理想の家づくりを叶えるためのポイントがそろっています。

間取りやデザインの自由度が高い

注文住宅の最大の特徴は、間取りやデザインを一から決められることです。たとえば、共働き夫婦であれば「家事動線を短くして負担を減らしたい」、子育て世帯なら「リビングに目が届く位置にキッズスペースを設けたい」といったように、家族の生活に合わせた間取りを実現できます。

さらに、吹き抜けのリビングやアイランドキッチン・収納スペースの充実など、こだわりを反映すれば、世界に一つだけのオリジナルな住まいが完成します。

建築過程を確認できる

注文住宅では、基礎工事から完成までの過程を現場で確認できるため安心感があります。工事の進み具合や施工の質を直接目で見られることで、手抜き工事や欠陥住宅への不安を軽減できるのも魅力です。

また、現場で職人や現場監督と直接コミュニケーションを取り、疑問点や要望をその場で相談できるのも大きな利点です。現場の清掃状況や作業の丁寧さを見ることで、施工会社の品質管理レベルを判断する材料にもなります。

土地を自分で選べる

建売住宅や分譲住宅では、土地と建物がセットになっているため土地を選べませんが、注文住宅なら自分の希望に合った土地を自由に選べます。

・家庭菜園を楽しめる広い庭が欲しい人は郊外の土地
・通勤や通学の利便性を重視する人は駅近の土地
・静かな環境を求める人は住宅街の奥まった土地

上記のようにライフスタイルや将来の暮らし方に合わせ、柔軟に土地を選べるのが魅力です。地盤の強さや周辺環境など、土地選びのポイントを押さえることでより満足度の高い住まいが実現します。

予算の調整が可能

注文住宅では、こだわりたい部分とコストを抑える部分のメリハリをつけやすいのが特徴です。リビングや水回りには予算をかけ、寝室や廊下はシンプルにするなど優先順位を決めて計画することで理想とコストのバランスを取れます。

さらに、住宅設備や建材のグレードを比較しながら選ぶことで、予算を効率的に使えるのもポイントです。打ち合わせの段階で予算配分を明確にしておくと、完成後の満足度も高まります。

好きなハウスメーカーに依頼できる

注文住宅は、自由にハウスメーカーや工務店を選べる点も大きなメリットです。各社にはそれぞれ得意とする建築スタイルや工法・標準仕様があるため、複数社を比較することで理想のデザインや性能に合った会社を見つけやすくなります。

ただし「建築条件付き土地」には注意が必要です。建築条件付き土地とは、その土地を購入する際にあらかじめ指定されたハウスメーカーや工務店で建築することが条件となっている土地のことです。

条件付きの場合、施工会社は自由に選べませんが、プランや仕様の変更がどの程度可能かを確認しておけば、より後悔のない家づくりが叶うかもしれません。

注文住宅のデメリット

注文住宅は自由度が高い反面、時間やコストがかかる、実物を確認できないなどの注意点もあります。メリットだけでなくデメリットを理解したうえで検討すると、後悔のない家づくりにつながります。

購入前に実物の確認ができない

建売住宅や分譲住宅は完成した家を見て購入できるため、間取りや採光・動線などを実際に確認したうえで契約できます。一方、注文住宅は図面やCGパースだけで検討するため、完成後に「想像と違った」と感じるリスクがあります。

このデメリットを補うには、モデルハウスや実際の施工事例を見学すること、VRや3Dパースを活用してイメージを具体化することが有効です。また、間取り図だけでなく窓の位置や隣家との距離感・採光など細部も確認しながら進めましょう。

契約から入居までに時間がかかる

注文住宅は、契約後に設計・施工を行うため、入居までにおよそ1年程度かかるのが一般的です。土地探しから始める場合や、間取りや設備にこだわる場合は1年半程度かかることもあります。

たとえば「子どもの入学に合わせて引っ越したい」と考えている場合などは、余裕を持ったスケジュールを逆算して計画することが重要です。

コストが高くなる傾向がある

注文住宅は、こだわりを反映できる分、建売住宅よりもコストが高くなる傾向があります。
高性能な断熱材や最新の住宅設備・デザイン性の高い素材を選ぶと予算が膨らむ可能性が高いです。

ただし、優先順位を明確にしてメリハリをつければ、コストを抑えつつ理想の住まいを実現することも可能です。初期の段階で総予算と細かい費用配分を決め、見積もりを段階的に確認しましょう。

打ち合わせが多く、手間と時間がかかる

注文住宅では、間取り・素材・設備・内外装など、決めるべき項目が多岐にわたります。そのため、打ち合わせ回数が多く、負担に感じる人も少なくありません。特に仕事や子育てと並行して進める場合は、スケジュール調整が大変になることもあります。

一方で、このプロセスを楽しむことで家への愛着が増し、完成後の満足度が高まるという側面もあります。負担を軽減したい場合は、こだわりの少ない部分を施工会社に任せる、または規格型注文住宅を選ぶのも良いですね。

注文住宅を建てる流れとスケジュール

注文住宅は、土地探しから間取り決定・建築・引き渡しまで複数のステップを踏んで進めます。ここでは、スムーズに家づくりを進めるための10のステップを順を追って紹介します。

1.住まいのイメージを考える

まずは、理想の住まいや暮らし方を家族で共有することからスタートします。「広いリビングが欲しい」「趣味の部屋を作りたい」「自然が多い場所に住みたい」など、思いつく希望をリストアップしましょう。

この段階では予算を気にせず自由に発想するのがポイントです。そのうえで、Must(絶対に必要)とWant(できれば欲しい)に分類し、優先順位をつけると後のプランニングがスムーズになります。

雑誌や住宅サイト、SNSで施工事例や写真を集めておくと打ち合わせ時にイメージを具体的に伝えやすくなるためおすすめです。

2.予算を検討する

次に、注文住宅にかけられる全体予算を決めましょう。まずは住宅ローンの借入額をシミュレーションし、返済額が年収の20〜30%以内に収まるような計画を立てると安心です。

その際、土地代と建物代の配分だけでなく、外構や引っ越し費用などの付帯費用・将来の教育費や生活費とのバランスも考慮することが大切です。

無理のない資金計画を立てるために、必要に応じてファイナンシャルプランナー(FP)に相談しておくと、より具体的な見通しを持つことができます。

3.住まい・資金の情報収集をする

理想のイメージと予算が見えてきたら、住宅会社や土地・資金に関する情報収集を始めます。気になるハウスメーカーのカタログを取り寄せたり、住宅展示場や完成見学会に足を運んだりすることで、実際の雰囲気や仕様を確認できるでしょう。

住まいづくりのセミナーに参加したり、オンラインで相談する方法も有効です。また、自己資金や親からの援助があるかどうかを確認し、土地を購入する場合は総予算を試算しておくことも重要です。情報を集めながら条件を整理していくことで、その後の土地探しや建築会社選びがスムーズに進められます。

4.土地探し・購入

予算と理想の住まいのイメージが固まったら、土地探しを始めます。希望するエリアや広さ、周辺環境や通勤・通学の利便性などを基準に検討するとスムーズです。

土地は自分で不動産会社を回って探す方法もあれば、建築を依頼する予定のハウスメーカーや工務店に相談し、候補地を提案してもらう方法もあります。理想の土地が見つかったら、購入申し込みと手付金の支払いを経て売買契約を結びます。

5.建築会社・ハウスメーカー選び

土地の目星がついたら、家を建てるパートナーとなる建築会社やハウスメーカーを選びます。依頼先をいくつか候補に挙げ、モデルハウスや完成見学会に足を運び担当者の対応や会社の雰囲気を直接確認しましょう。

会社の得意分野や施工実績をチェックし、信頼できる候補を絞り込むことが大切です。

6.プランニング・見積もりを依頼し検討する

候補として絞り込んだ建築会社やハウスメーカーに、同じ条件でプランと見積もりを依頼します。間取りや仕様が希望通りに反映されているか、そして見積もりが予算内に収まっているかを確認しながら比較検討しましょう。

目安としては3社ほどに依頼すると、提案内容や費用の違いが明確になり判断しやすくなります。この段階では、プランそのものだけでなく打ち合わせ時の担当者の説明の分かりやすさや、質問への対応の丁寧さも確認してみてくださいね。

7.契約

プランや見積もり内容に納得できたら、建築工事請負契約を結びます。契約書には工期や費用の総額・支払い条件・保証やアフターサービス・不測の事態への対応方法など重要な情報が記載されているため、細部まで確認しておくことが大切です。

契約締結後は住宅ローンの本審査を行い、融資実行に向けた手続きを進めます。このタイミングから、間取りや設備の細かな仕様決定に入るケースもあります。

8.着工・基礎工事

契約や許認可の手続きが完了したら、いよいよ工事のスタートです。まず初めに地盤調査を行い、必要であれば地盤改良を実施します。その後、家の土台となる基礎工事に進みます。

着工の前には、敷地に縄を張って建物の位置を示す「地縄張り」や、工事の安全と家族の繁栄を祈願する「地鎮祭」を行うのが一般的です。こうした儀式を通して、いよいよ家づくりが本格的に始まることを実感できるでしょう。

さらに、着工前に近隣住民へあいさつを済ませておくと、工事期間中の騒音や車両の出入りなどによるトラブルを未然に防ぐことができます。

9.上棟・各種工事

基礎工事が終わると建物の骨組みが組み上げられ、棟上げを迎えます。この節目に合わせて上棟式(工事の無事を祈る儀式)を行うこともあり、工事関係者とともに無事の完成を祈る慣習です。

その後は屋根や外壁・断熱・配線・配管・内装工事といった各工程が進行します。工事の進み具合や仕様が計画通りかどうか、定期的に現場を確認しておくと安心です。

10.竣工・引き渡し

建物が完成すると、営業担当者や現場監督と施主が立ち会い、図面や仕様書どおりに仕上がっているか竣工検査を行います。不具合や調整が必要な箇所があれば補修を依頼し、問題が解決したことを確認してから鍵の引き渡しを受けましょう。

保証書や設備の取り扱い説明を受けたら、電気・ガス・水道の開通や住所変更手続きなどを済ませ、新生活の準備を進めます。

注文住宅で後悔しないための5つのポイント

注文住宅は自由度が高い分、計画段階での判断がその後の暮らしやすさに直結します。ここでは、理想の家づくりを叶えるために押さえておきたい5つのポイントを解説します。

希望を明確にする

まずは、家族のライフスタイルに合った理想のテーマや優先順位を明確にすることが大切です。

「開放感のあるリビングが欲しい」「収納を多く確保したい」「子どもが遊びやすい家にしたい」など、実現したい希望を書き出し、必須条件と理想条件に分けて整理しましょう。

現在の住まいで感じている不満点を洗い出し、新しい家でどう解決するかを考えると必要な設備や間取りが見えてきます。

具体的なイメージをピックアップしておく

希望を具体化するために、雑誌やSNSで見つけた好みのデザインや間取りを集めておくことをおすすめします。モデルハウスや完成見学会を訪れ、実際のサイズ感や生活動線を確認するとより現実的なイメージを持てますよ。

こうした具体的なイメージをハウスメーカーや工務店と共有することで、要望のズレを防ぎやすくなります。

予算を決めて無理のない計画を立てる

家づくりの満足度は、建てた後の生活に負担がないかどうかでも決まります。住宅ローンをシミュレーションし、返済額が年収の20〜30%以内に収まるよう計画を立てることが理想です。

建物価格だけでなく、外構工事費や諸費用も含めた総額を把握し補助金や親からの資金援助の活用も視野に入れながら、無理のない予算を設定しましょう。

土地と建物は同じ会社に依頼する

土地と建物を別々に決めると「希望する家が建てられない」「地盤改良に予想外の費用がかかる」といったトラブルが起こる可能性があります。

建築を依頼する会社と一緒に土地を探せば、土地の条件と建物の計画を同時に検討できるため効率的です。資金計画や建築プランを総合的に考えられる点でも安心感がありますよ。

住みやすさを意識した間取りにする

家族構成やライフスタイルの変化に対応できる、柔軟性のある間取りを考えることも重要です。たとえば、子ども部屋を将来的に仕切れる設計にしたり、家事動線を短くするレイアウトを採用したりすると長く快適に暮らせます。

また、日当たりや風通し・収納の配置にも配慮し設計段階で暮らしのシミュレーションをしておくと良いですね。

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注文住宅は、費用や土地選びやデザインの自由度など検討すべきことが多く、初めての方にとって不安や疑問がつきものです。だからこそ、資金計画から間取り設計・施工まで一貫してサポートしてくれるパートナー選びが重要になります。

グランハウスは岐阜/愛知/三重で注文住宅を提供している設計士集団です。

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